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November 13, 2004

『虚貌』~笑顔の下に隠された殺意

虚貌〈上〉
雫井 脩介

幻冬舎
2003-04
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先日読んだ『火の粉』がわりと面白かったので、その前作も読んでみました。
ちなみに文庫裏表紙の説明。

二十一年前の一家四人放火殺傷事件の加害者たちが、何者かに次々と惨殺された。
癌に侵されゆく老刑事が、命懸けの捜査に乗り出す。
恐るべきリーダビリティーを備えたクライムノベルの傑作。

「リーダビリティって何だ?」と調べてみたら「文章の難しさ、読みやすさ」を意味するらしいんですが。

「恐るべき読みやすさ」て何。

思わず笑い出しそうになりました。いや実際(笑)。
まあ読みやすくはありますが、最初の頃、登場人物が絡み合わないうちはけっこうつまらないですね。
「あんた誰?」「だから何?」という感じで。
最初の殺人が起こるあたりからようやく面白くなってきます(笑)。
刑事の娘が絡んでの芸能界裏話なんぞは不要かなと思いますが、娘が追い詰められて「醜形恐怖症」になっていくあたりの心理描写は上手いかと。
犯人が使ったトリックについては、この話のタイトルにしてテーマと密接に結びついているので、別にアンフェアだとは思いませんが(つかこれ本格推理じゃないし)、個人的にどうしても納得いかないんですよこの話。

なんで最後に犯人に「俺はやってない」なんて言わせるの?

そんで老刑事が「そうか」とか俺だけは信じる、みたいな態度とって、その時間にちょうどもう一人の容疑者が行方をくらませてたとか「もしかして?」って気に一瞬させるけど、でもどう見たって犯人は北見で辻で藤田だった被害者の息子だろ?
だって湯本にガソリンかけた藤田は辻としてモリさんと電話してたよね?(←これから読もうという方のため伏字)

まあそのへんも含めて、犯人側の心理描写がほとんどないってのは痛いかなあ、と。
ただ、「顔は心と密接にくっついている」というのはよくわかったし、カウンセラーの北見がいう「笑顔に勝る仮面なし」もある意味正しいと思う。
思うんだけど、私のように激昂すると涙が止まらなくなるタイプは仮面のかぶりようがないのよ……(涙)。

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Comments

はじめまして!
「虚貌」つながりで遊びにきました♪
TBもさせていただいたのですが、2重になってしまったみたいでごめんなさいm(__)m
私も「火の粉」がすごくよかったので次にこの本を読んだのですが、やっぱりちょっとありえない手口ですよね。
ここまで完璧に鮮やかな手口で犯罪を行えるなんて、やっぱり小説なんだ・・・と思わせちゃいますね。
最近本当に起こっている事件も猟奇的なものが多いですが、やっぱりここまではないな~と。
で、やっぱり犯人は生き延びてるって思います?


Posted by: ドル | December 04, 2004 at 02:17 PM

こんにちわ、コメントありがとうございます。
あの犯人の手口は、ちょっとハリウッド映画っぽいというか、ミステリとは違いますよね。
でも楽しい事は楽しかったからよいかと。
犯人は……あれは微妙な書き方ですよね、ラスト。お見舞いに来たのは実は一緒に捜査してた辻さんという可能性もありだと思うのですが、あのごまかし方はやっぱ生きてたんだろうと思います(笑)。

Posted by: 水原 | December 07, 2004 at 11:02 PM

こんばんは!
TBありがとうございます。
ホント、ハリウッド映画っぽい!
映画化したらいいかも。
で、犯人の生存が不明だから続編も作れる(笑)
そう考えるとこの脚本ありですね(^_-)-☆

Posted by: ドル | December 08, 2004 at 12:34 AM

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