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December 04, 2005

『アイランド』~クローンはオリジナルの記憶を夢に見るか?

B000BIX81Oアイランド
ユアン・マクレガー カスピアン・トレッドウェル=オーウェン マイケル・ベイ

ワーナー・ホーム・ビデオ 2005-11-25
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汚染された地球で唯ひとつ残された楽園、それがアイランド。
全てをコンピュータ管理された施設で生きる人々にとって、抽選によりその島へ移住することだけが生きる目的だった。
だがリンカーン・6エコーはその生活に「疑問」を持ち始め、ついに自分たちが臓器移植のためだけに生み出されたクローン、すなわち「製品」であることを知り、親しい女性ジョーダンと共に逃亡を試みる。

とりあえず感想。
SFじゃなくてアクション映画なんだなこれ。
設定はSFとしてはありがちなネタですね。
原作はディックなのか?
完璧にコンピュータ制御された施設はなかなか美しいですが、同じ服しか着ちゃいけないとかすごく細かく体調管理されていて食事制限が厳しかったりとあまり楽しい場所とはいえません。
娯楽としてはバーや格闘ゲームがありますが、ゲームの機種がXBOXなのはご愛嬌(笑)。
ある日生きた虫を捕まえたリンカーン、「もしかして世界は汚染されていないかも」とそのルートを探るうち、見知らぬ場所へ出てしまいます。
そこで、ついこの間アイランド行きに当選した男が臓器をとられるところや、妊娠して子供と一緒にアイランド行きとなった女性が殺される場面、さらには「製品」が生まれるところまで見てしまい大ショック。
ちょうど親しくていた女性(恋人じゃないんだな)ジョーダンがアイランド行きに当選したので、一緒に逃げ出します。
ここから延々と続く逃亡劇にちょっとうんざり。
いやもう本当にずーっとずーっと逃げてるんですよ。
まずは施設の中、次に施設を出たら砂漠で、駅の中、次がオリジナルの住むロサンゼルスでカーチェイス(そういや情報ブースがMSN印だった(笑))。
これも車に乗ったりバイクに乗ったり電車に突っ込んだりビルの看板ごと地上に落っこちたり、とにかく延々と追っ手のもと特殊部隊から逃げるんですが、
絶対市民が100人単位で犠牲になってる。
思わず「いいからとっとと捕まっちまえよ!」「お前らそれでも特殊部隊出身かこの無能どもー!」と叫びました。
どうも逃げる方より追っ手の方に感情移入しちゃってねえ(笑)。
そんでようやくオリジナルの家に辿り着くんですが、お約束として、オリジナルは自分の命が可愛くてクローンを買っちゃうような人間ですから。
もちろん会社に通報するんですよ。
「世間に違法なクローンを公表しよう」と言って連れ出しますが、当然クローンは逃げ出すわけで。
ちなみにこのとき、クローンはオリジナルに噛みつきます。

妹「馬鹿だなー、ヤりすぎで肝硬変になるような人間に噛みつくなんて、感染しても知らないぞ」
水原上手いことオリジナルになりおおせたのに肝硬変になって自分もクローンを買いに行くなんてブラックなオチならいっそ楽しいんだが

残念ながら期待したオチにはなりませんでした(笑)。
そんでまた延々と逃亡劇が続いたあと、銃を突きつけられたリンカーンと突きつけたリンカーンはそれぞれ「俺が本物だ!」と叫びます。
悩む追跡チームのリーダー。
両方捕獲しちまえばいいのになぜ独断で片方殺すかな。
麻酔銃くらい持ってこいというか、ジョーダンの方は移植のために生かして捕まえなきゃいけないんだから、実際用意してそうなものなんですけどねえ。
てなわけでおまぬけにもクローンのとっさの機転により認識タグをつけられてしまったオリジナルがご臨終になり、クローンはまんまとオリジナルになりすましました。
これで安泰と喜ぶクローン製造会社の社長たちですが、そもそもなぜ失敗作が出たか調査したら、リンカーンの世代以降はクローンが成長するにつれオリジナルの記憶が復活するとゆーものすごい不思議なことになってました。
そもそもこの技術も、本当はクローン作ったあとただ「生かして」おければいちばんよかったんですが、放置すると「壊れて」しまうので「生きる目的」としてアイランドをすりこんだのだとか(このへんよくわからなかった)(植物状態じゃ臓器不全とか起こす可能性があるのか?)。
まあともかくクローンてカプセルで急速培養したあと、パックから出して育てる必要があるってことなんですよね。
だからこんな手間隙かけてるわけですが、そうすると殺す時には取れる臓器は全部取って保存しといた方がいいですよね。
どうやら真空パックできるみたいだし。
だって次のクローンが育つ前に、オリジナルがまた事故や病気で別の臓器を必要とする可能性もあるわけでしょう。
本当はもひとつクローン作っておくと確実なんだけど、金額の問題もありますからねえ。
と、つい実務的なことを考えてしまったり。
閑話休題。
てーわけで施設のクローン達は知能も15歳程度、世間の常識はもちろんなく、性知識も教えてないそうで。
でも妊娠して、子供と一緒にアイランドに行けるって女性がいたよなあ。
妊娠自体は体外受精でやったんでしょうが、「子供の出来方」はどう説明してたんだおい。
施設にはキャベツ畑もないしコウノトリもいないぞ!
謎だわー……。
まあそれはともかく、「失敗作」はリコールが決まりました。
上手いことオリジナルになりすましたリンカーンは施設の皆を放ってはおけないとオリジナルの振りをして乗り込みます。
一方、逃げ出す時に貰ったカードを使って居場所がバレたジョーダンは捕まって施設に逆戻り。
実はリンカーンと示し合わせて施設に潜入したのですが、この施設は捕まえたクローンの身体検査もしなけりゃ手術前に感染症の検査とか麻酔もしないのか。
手術室でベッドに寝かされたジョーダンが服の下からピストルを取り出すなんてありえない!
ありえないよママン(涙)!!
ともかくリンカーンは施設の破壊に乗り出し、ジョーダンは「リコール」される仲間を助けに行きます。
そこで追っ手の特殊部隊のリーダーが、自分の過去を「人間以下として焼印を押された」といきなりジョーダンたちに同情して味方になっちゃのがわからん……。
こいつらのせいで、あんたの部下ほぼ全滅だったよ?
どうせ味方につくなら最初の段階でついときゃいいのに……。
そしてリンカーン君はまず皆にウソの映像を見せているホログラム映像室をぶっこわそうとしますが、案の定防弾ガラスだったので断念。
次にブレーカーを落とそうとします。
そこで襲ってくるのが警備じゃなく社長なのが謎だ。
おーい社長。
そして簡単に壊れるブレーカーも謎だ。
これほど巨大な施設の電力を供給するブレーカーなら、二重三重の防御やサブシステムがあってしかるべきなのに……。
貴様らシステムの緊急バックアップ体制をなめてんのか?(←現在死ぬほどシステムのバックアップ及び緊急時対処プランに悩まされている女)
ありえない!
こんな馬鹿な展開ありえないよママン(涙)!
私がこの施設のシステム担当ならこんな設計絶対しねえ!
保守体制がまったくなっとらん!!
そして社長は死に、自由を得たクローンたちが次々と地上へ……。
……ってここは感動するとこなんでしょうが、私はダメでした。
この後の世界の混乱の方が気になって!
だって突然有名人だの政治家だののクローンが何百人と地上に出てきたりして違法クローンがバレたら皆困るじゃないか!
国防総省だって1200億ドルも投資してもと軍事基地まで施設として提供して、合衆国大統領のクローンもいるんだぞ!
クローンがどこぞの組織に捕まり洗脳されてすりかえられたら!?
とか全然別のSF映画が作れそうだ(笑)。

あと嫌だなあと思ったのが、自分の記憶までクローンされちゃうということです。
勝手にシナプスが形成されるなんてありえないと思うんだけど、自分と記憶まで同じ人間がいるなんて嫌じゃないですか?
姿かたちが同じだけなら、まあ生き別れの兄弟と思えなくもないけど……。

もちろんクローンに罪はないし、自分がクローンの方だったらと考えるとまた話は違ってきちゃうんですが。
でもラスト、主人公が夢で見ていたオリジナルが作ったボートに実際に乗ってる場面があって、「そりゃオリジナルは嫌な奴だったけど、それは君が作ったものじゃないのにな」と思ってしまいました。
清水玲子の『輝夜姫』(ラストいまいちだったなー)は、移植されたクローンの意識がオリジナルを乗っ取ってしまうんだけど、そのクローンがオリジナルの失われた人生を思う場面があったのに。
たとえ知識や記憶までコピーできたって、その手は本当に家族や恋人を抱きしめたことはないし、その足は記憶にある野原を駆けたこともない。
名誉も報酬も、家族や恋人も、クローン自身が努力して手に入れたものなどひとつもないのに。
なーんか納得いかないよなあ、と思ってしまうのでした。

ただやっぱり今後、クローン技術についての論議は活発にしていく必要があると思います。
倫理的な観点から反対する国も多くありますが、クローンは決してこの映画のような「自分と同じ記憶・人格を持つもうひとりの人間」を作る技術ではありません。
そんな技術を作ることは私も反対ですし、そもそもそんなものを作りたい人がいるんですかね?
でもクローン技術の研究を進めることは、医療など様々な分野で役立つはずです。
だから実際、感情的にならずにもっと世界中で協力して進めていくべきだと思うんですが。
まあ難しい問題ではありますけど、だからこそ活発な議論が必要なんじゃないでしょうかね……。

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