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March 13, 2006

『ブロークバック・マウンテン』~アカデミー作品賞を取って然るべき名作

ブロークバック・マウンテン
E・アニー・プルー 米塚 真治
4087604977

珍しくDVD化が待てず映画館まで行ってきました、『ブロークバック・マウンテン』。ネタバレありなのでこれから見たいという方はご注意!

1963年の夏、仕事を求めてブロークバック・マウンテンにやってきたイニス・デルマーとジャック・ツイストは二人で羊の放牧の番をすることになる。
山の中でふたりは親密さを深め、ある晩ついに一線を越えた。
そこでは自然だった二人の関係も山を降りれば終わりとなり、離れ離れになった二人はそれぞれに結婚し、家庭を持った。
だが4年の後再会した二人は、互いがずっと求め合っていた事を知り再び激しい情熱に身を任せるが、世間に認められない関係は、年に数度、山へ出掛けていくことが精一杯だった。
イニスといつか父親の牧場を継いで二人で暮らしたいと願うジャックと、過去のトラウマからその手を取ることのできないイニス。
20年近く続きながら行き場のない二人の関係は、しかしある日突然終わりを告げる……。

切なすぎ……!!

うん、正直に言うと見た直後は「ああアカデミー賞候補だなー」という感じでした。
萌えよりは人生に重点置かれてます。って当たり前か(笑)。

山の中で二人きりで暮らす夏。
雄大な山の風景が本当に素晴らしいです。
ある夜、ついに二人は一線を越え……って、結局ちゃんとしたHシーンはここだけだったかな?
あとは抱き合ったりチューしたりくらいで。
とはいえ、男性客ってこれを見てどう思ってんだろう。とちょっと疑問でした。や、男性客けっこう多かったから……。
そして突然訪れる夏の終わり。
予定より1ヶ月も早い仕事切り上げの連絡に激昂するイニス。
山を降りたら婚約者と結婚する予定のイニスにしてみれば、ジャックと過ごせるはずの時間を突然奪われてしまったんだものな……。
互いに何気ないように別れる二人ですが、ジャックの姿が見えなくなったとき、イニスは突然の衝動に物陰で嘔吐するのでした。
そしてイニスは予定通りアルマと結婚。
でも次の夏、ジャックは再びブロークバック・マウンテンを訪れるのです。
イニスが来ていないかと期待したけれど彼はおらず、やがてはジャックもロデオの大会で知り合った女性と結婚。
お互いに家庭を持ち、忘れたはずだったのに……。
4年の後、突然葉書を寄越したジャックの気持ちは本でも説明されていないけど(買ったさ原作本!)、もう離れることのできない二人はそれから年に数度の逢瀬を山で続けるのです。
しかしジャックとイニスが再会した時の熱烈な抱擁を見てしまったイニスの妻・アルマは、仕事の不満などもあって次第にイニスに愛想を尽かし、ついには離婚。
離婚成立の連絡を聞いてすっとんできたジャックですが、イニスは娘との月1の面会日だからと彼を追い返し。
てっきりこれで自分と一緒に牧場を継いでくれるんだろうと思って飛んできたジャックが車を飛ばしながら拭う涙が痛いっす(涙)。
そしてその傷を癒すようにメキシコで男を買ってみたり、他の男と怪しい仲になってみたり(?)。
でもともかく、時間は流れて行きます。
時間の経過を示す為にジャック口ひげ生やしたりお腹が出てきたりしたように見せてますが、ちょっと似合わないなあ(笑)。
イニスの方はわりともともと老けが……いや失礼、あんまり違和感ないんですが。
そして、最後の逢瀬。
イニスにはいい仲になった女性がおり、ジャックも近所の牧場主の妻と浮気しているという。
互いに、相手が女性の場合は特に咎めあったりしないんですよね。
ジャックはまだ結婚してるわけだし。
でもジャックは言うんです。
「時々、無性にお前が恋しくなる」と。
けれどその逢瀬は、イニスが8月の予定はダメになったと最後の最後に告げたことで怒鳴りあいに発展し、互いに長い間ためこんできた不満を爆発させます。
でも結局はいつもどおり。
お互い離れることなど出来ない、けれどどうしようもないと次の逢瀬を約束して別れることになります。
そのイニスの背中を、ブロークバック・マウンテンの出来事を思い出しながら見つめるジャック。
ジャックが背中からそっと抱きしめてくれた、ただそれだけで何よりも満たされた、あの瞬間のことを……。
ああそうそう!
私はテレビの紹介番組で見たこの場面見たさに映画館まで行ったんですよ!!
ああこのジャックの表情が本当にたまらない……!!

けれど突然訪れる別れ。
イニスが出した葉書が、「宛先人死亡」で返ってきて初めて、イニスはジャックが死んだ事を知るのです。
遺灰はブロークバック・マウンテンに撒いてくれ、という遺言を果たすべくジャックの両親のもとを訪れるイニス。
そこで彼はジャックが「イニスといつか牧場を継ぐ」と言っていたことを知ります。
それが最近突然、別の男と牧場を継ぐと言い出したことも(ジャックの死の原因はいちおう事故として映画では語られてますが、原作ではたぶんこっちが原因のリンチ殺人だろうとイニスは考えてます)(実際そうなのかな……)(だとしたらあんまりだ……(涙))。
最後、ジャックの部屋を見せてもらったイニスは彼が大事にしまっていたものを見つけます。
それはブロークバック・マウンテンで過ごした最後の日。
殴りあってイニスの血がついたジャックのシャツと、あの頃イニスが着ていたシャツ。
その2枚をぴったりと重ね合わせて、ひとつにして……。
乙女だなジャック(号泣)!!
遺灰は家族の墓に入れると父親はいい、イニスはそのシャツだけを形見分けとしてもらって帰ってきます。
再び牧場労働者として働くイニス。
ある日突然やってきて、結婚するから式に出てくれと言う娘にイニスは問います。

「彼はお前を愛しているか?」

ああ……。
ジャックもイニスも、そういえば、「愛してる」という言葉は一度も映画では言わなかった(……と、思う)。
ふたりとも愛せると思った相手と結婚したけれど、結局は互いに決して離れることができなかった。
ラスト、イニスがクローゼットを開けるとブロークバック・マウンテンの絵葉書とジャックの所からもらってきたシャツがかかっています(この場面、ジャックのところで見つけた時とシャツの重ねる順番が逆になってるのです)。
そして、イニスはそのシャツを抱きしめ呟くのです。

「ジャック、俺は誓う……(Jack,I swear……)」

おおお(号泣)。

字幕は「永遠に離れない」って映画のキャッチコピーになってましたが。
うーん、微妙……。
娘の結婚の話のあとにこの台詞を持ってくると、そういう意味かなって思うんですけど、原作は結婚話ないので「何」を誓ったかは曖昧なんですが……。
うん、なんていうか見た直後は「ああやっぱ死にネタかー」とかも思ったんですが、時間が経つほどなんかこう……泣けてきますな(涙)!
二十年もの間、遠く離れながら互いを想い続けた二人の気持ちを考えると本当に切なくなります。
同性愛の映画だからと言わず、たくさんの人に見て欲しい映画です。

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